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レーザープリンターや複合機で使われるトナーカートリッジ。使用後のカートリッジは回収され、再資源化や再利用が進められていますが、実際にどれほどリサイクルされているかご存知でしょうか?
本記事では、一般社団法人 日本カートリッジリサイクル工業会(AJCR)が公開している統計データをもとに、トナーのリサイクル率の推移を解説。さらに、キヤノンやリコー、エプソンなど主要メーカーが行っている回収・再利用の取り組みも紹介します。
環境に配慮しながら、正規品の価値を守るための各社の姿勢を、公式情報に基づいてまとめました。

目次

目次

トナーカートリッジのリサイクル実績はどれくらい?

トナーカートリッジは、環境への配慮から再使用(リユース)が積極的に行われています。ここでは、リユース品の出荷数や新品出荷数との比較、モノクロ・カラー別の傾向について詳しく解説します。

モノクロ・カラー別のリユース出荷本数の比較

リユース出荷本数のイメージ画像

2013年から2024年までの直近12年間において、モノクロカートリッジのリユース出荷本数は毎年2,500千本以上と安定しており、カラーに比べて2〜3倍近い規模で推移しています。

たとえば2024年の出荷本数を見ると、

  • モノクロリユース品:2,521千本
  • カラーリユース品:1,096千本

この年だけで見ても、モノクロはカラーの2.3倍以上の出荷量があることがわかります。これは印刷用途の主流が依然としてモノクロであることや、企業・官公庁における文書出力の多くが白黒であることが背景にあると考えられます。

リユース出荷量の長期推移|全体としては減少傾向

AJCRによると、同工業会会員企業が出荷したリユーストナーカートリッジの本数は、2014年の5,934千本をピークに、その後は減少傾向が続いています。
2024年の出荷実績は3,617千本と、10年前と比較して約4割減少しています。

この傾向は、リユース率の維持に努めていても、市場全体のプリンタ使用量の変化や、機種ごとの対応可否、新品価格の下落など複数の要因が影響しているとみられます。

「新品出荷数」との対比で見るリユース率の変化

新品とリユース品の比率を見ると、モノクロではリユース率が35%前後を維持している一方、カラーでは近年10%台前半と低めにとどまっています。

たとえば2024年の実績では、

  • モノクロのリユース率:35.2%
  • カラーのリユース率:11.8%

このようにリユースの主役は今も昔もモノクロであり、カラーは構造や使用環境の違いからリユースが進みにくいことが統計からも明らかです。

公式統計出典:
AJCR「カートリッジ回収・再資源化統計」
https://www.ajcr.jp/statistics/


リサイクルが進む理由とは?環境とコストの両面から解説

トナーカートリッジのリサイクルは、単なる「資源の再利用」にとどまらず、企業活動や社会全体の持続可能性に直結する重要な取り組みです。ここでは、リサイクルが拡大する背景として注目すべき3つの要因を紹介します。

SDGsや環境配慮への関心の高まり

環境配慮への関心の高まりのイメージ画像

トナーカートリッジの再使用・再資源化は、環境省のエコマーク制度における対象商品(類型番号132)にも位置付けられており、SDG 12「つくる責任・つかう責任」に直結する取り組みです。

また、第四次循環型社会形成推進基本計画では、SDGs達成や循環経済実現に向けて3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進が政策方針として明記されており、トナーカートリッジの再生はそれに沿った社会的活動です

🔗【参考】環境省|エコマーク制度とSDGsの関連(PDF)
https://www.env.go.jp/content/000069908.pdf

本資料では、エコマーク認定製品とSDGsとの関係性が示されており、トナーカートリッジは「類型132」に分類。持続可能な消費と生産(SDG12)に資する製品として位置付けられています。

使用済みカートリッジを捨てずに回す企業の姿勢

捨てずに回す企業の姿勢のイメージ画像

AJCR(日本カートリッジリサイクル工業会)は「E&Qマーク」認証を通じて、「環境と品質」を同時に担保するリユース基準を設定し、使用済みカートリッジの再生・再出荷活動を支えています。

また、ブラザーグループは2024年までに4,000万本超のトナーカートリッジ再生やCO₂削減を達成。またリコーでは「ECトナー」を通じてトナーカートリッジ再使用によりCO₂排出を最大40%削減すると公表されています。

🔗【参考】環境省|E&Qマーク付リサイクルトナーでCO2排出削減
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/activity/22.html

🔗【参考】ブラザー|プリンティング事業で挑む、インクカートリッジの再生
https://sdgsstory.global.brother/j/customer/690/

🔗【参考】リコー|環境貢献トナー
https://www.ricoh.co.jp/products/maker/ricoh/features/ec-tonar

法制度や国の方針(循環型社会など)との関連

日本政府は循環型社会形成推進基本法や資源有効利用促進法(3R推進法)に基づき、製品のリユース・リサイクルを「国の責任」と位置づけています。トナーカートリッジの再生は、この基本設計の中に位置し、法制度に基づいた正当な社会活動といえます。

メーカー別|純正トナーのリサイクルへの取り組み

Canonの取り組み

キヤノンでは、回収から再資源化までを一貫して行う高度なリサイクルシステムを構築しており、環境への配慮と社会貢献を同時に推進しています。

3つのリサイクル工程を導入した独自の循環型プロセス

使用済みカートリッジは、キヤノンの専用工場で以下の工程により再資源化されます。

  • リユース:再利用可能な部品を選別・洗浄・再組立。
  • マテリアルリサイクル:プラスチックや金属などを原材料として再利用。
  • サーマルリサイクル:燃料として熱回収することでエネルギーとして活用。

この3ステップを通じて、廃棄物を最小限に抑えた循環型リサイクルを実現しています。

学校支援にもつながる「ベルマーク運動」

学校単位で使用済みカートリッジを回収し、ベルマーク点数を付与する仕組みを展開。環境保全と教育支援を両立させるユニークな取り組みです(※対象はベルマーク教育助成財団登録校)。

地域と連携した「未来につなぐふるさとプロジェクト」

回収数に応じた金額を環境保全団体へ寄付。NPOや地域住民と連携し、自然環境・生き物・農業をテーマにした活動や環境教育を支援しています。

業界横断で推進する「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」

複数のプリンターメーカーと連携し、インクカートリッジの共同回収・リサイクルを実施。再資源化に加えて、寄付を通じた社会貢献も推進しています。

🔗【参考】キヤノン|カートリッジリサイクルの流れと社会貢献活動
https://corporate.jp.canon/sustainability/environment/collect/recycle-cartridge/flow

RICOHの取り組み

リコーグループでは、全国規模のネットワークを活かし、使用済みトナーカートリッジの再利用と再資源化を効率的に行っています。

全国に広がるリユース・リサイクルのネットワーク

リコーは、回収センター・再生センター・リサイクルセンターなどから構成される独自のネットワークを構築。使用済みカートリッジは全国から集められ、最適な工程で処理されます。

再生・リユース・再資源化の3本柱

回収されたカートリッジは、リコー独自の品質基準のもとで以下のように処理されます:

  • 再生品として再出荷:使用済みカートリッジの中から状態の良いものを再生。
  • リユース部品として活用:一部部材は再利用し、新品同様の品質で生産ラインへ供給。
  • マテリアルリサイクル:再利用できない材料は、素材として再資源化。

高い再資源化率を実現する技術開発

リコーでは、リサイクル技術の向上に継続的に取り組み、高い再資源化率を維持しています。この成果により、エコマークグリーン購入法で求められるリサイクル基準も満たしています。

🔗【参考】リコー|カートリッジの回収・再資源化の流れ
https://jp.ricoh.com/sustainability/environment/product/recycle/flow

EPSONの取り組み

エプソンでは、使用済みインク・トナー製品の回収からリユース・再資源化まで一貫した体制を整備し、環境配慮と資源循環を重視した活動を展開しています。

循環型社会を支える「インク容器循環プログラム」

エプソン独自のプログラムとして、使い終わったインクカートリッジやインクパックを回収し、再使用可能な部品を選別・再利用。これにより、新たに製品として再生されたカートリッジが再びお客様の元へ届けられる仕組みが構築されています。

インク製品の素材ごとリサイクル

全国の回収拠点やベルマーク運動などを通じて集められたカートリッジは、分別・分解ののち、素材別にリサイクル処理され、資源として再生。インク容器循環プログラムで使用されなかった部品も無駄なく再資源化されています。

トナーカートリッジも再資源化と社会貢献に貢献

エプソンでは、トナーカートリッジやその梱包材などすべての構成要素をリサイクル対象としており、製品開発の段階からリサイクルしやすい素材・構造を採用。プラスチック部品には材料の表示を行い、分別・再資源化がしやすい工夫がされています。

さらに、回収活動を通じて環境団体や教育機関への寄付にもつなげており、社会貢献と環境保全の両立を目指した取り組みが展開されています。

  • 「引取回収サービス」では、回収で得たポイントを環境団体へ寄付可能(オイスカ、日本自然保護協会など)
  • 「ベルマーク活動」では、ポイントが学校備品の購入支援や被災地支援につながる
  • 「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」では、複数メーカーと連携した回収・寄付活動を実施

🔗【参考】エプソン|純正カートリッジのリサイクル
https://corporate.epson/ja/sustainability/environment/resources/recycle-genuine-cartridge.html

FUJIFILMの取り組み

富士フイルムビジネスイノベーションでは、トナーカートリッジやトナー回収ボトルの積極的なリユースを通じて、資源の有効活用と環境負荷の低減に注力しています。

1990年代から継続する再利用の取り組み

同社は1990年代より、使用済みのトナーカートリッジやトナー回収ボトルなどの回収・再利用にいち早く着手し、環境保全活動の先駆けとなってきました。これまでに、累計で36,000トン(36kt)相当の新規資源の投入抑制に成功しています。

高いリユース率で循環型社会に貢献

主力製品においては、トナーカートリッジの約45%がリユース部品で構成されており、さらにトナー回収ボトルでは約55%が再利用部品で構成されるなど、非常に高い再利用率を誇っています。これにより、限りある資源の循環と廃棄物の削減を同時に実現しています。

無償回収サービスの提供

富士フイルムでは、同社の消耗品配送サービスを利用していない企業や団体向けにも、無償のカートリッジ回収サービスを提供しています。対象は、トナー・ドラム・トナー回収ボトルなどの純正消耗品で、専用フォームから申し込みが可能です。

🔗【参考】富士フイルムビジネスイノベーション|環境配慮への取り組み
https://www.fujifilm.com/fb/product/multifunction/promotion/environment

私たちにできること|正しく回収に出す方法とは?

トナーカートリッジのリサイクルは、メーカーの取り組みだけでなく、私たちユーザーの協力があって初めて成り立つ活動です。ここでは、各メーカーが提供する正しい回収方法や、自宅や職場から利用できる手軽な手段、さらにはリサイクル以外の有効な選択肢まで、具体的な行動方法をご紹介します。

メーカーごとの回収申し込み方法

各メーカーでは、純正トナーカートリッジの無料回収サービスを実施しており、専用フォームから申し込みが可能です。トナーカートリッジの具体的な回収方法や申込手順については、以下の別記事で詳しく解説しています。

▶️ 詳しくはこちら:
主要メーカー別|トナー回収方法まとめ|無料回収の条件や申込先一覧

トナーの処分方法でお困りの方や、正しくリサイクルに出したいとお考えの方は、ぜひあわせてご覧ください。

回収ボックス設置や宅配回収の活用方法

回収ボックス設置や宅配回収の活用方法のイメージ画像

メーカーによっては、回収専用の宅配キットや、郵送不要で使える回収ボックスを提供しています。

【宅配回収サービス】
Webフォームから申し込むと、回収箱が届き、着払いで返送するだけの手軽な仕組みを提供しているメーカーもあります(例:キヤノン、ブラザーなど)。

【回収ボックス設置】
家電量販店・郵便局・市区町村施設などに設置されており、家庭用インク・トナーの一部が対象です。メーカー公式サイトや各プロジェクト(例:「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」)から設置場所が検索できます。

トナー買取というもう一つの選択肢

トナー買取という選択肢のイメージ画像

未使用・未開封の純正トナーカートリッジをお持ちの場合は、廃棄や無料回収ではなく「買取」に出すという選択も有効です。適切な手順で回収され、再流通することで、資源の有効活用に加え、コストメリットも得られる点が注目されています。

👉 買取の流れや対応メーカーの一覧など、詳しくは以下の専用ページをご覧ください。
🔗 トナーカートリッジの買取案内|買取対象メーカー・型番と申込方法はこちら

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