「レーザープリンターとインクジェットプリンター、どちらを選ぶべきか?」という疑問は、家庭用から業務用まで多くの人が直面する課題です。しかし、一般的な比較記事では 「レーザーは速い・インクジェットは写真向き」 といった表面的な違いしか語られません。
本記事では、単なる価格やブランドではなく、印刷技術の特性印刷コスト用途別の適性、そして消費電力といった具体的な指標に視点をあて掘り下げてご紹介していきます。

目次

1.レーザープリンターとインクジェットプリンターの基本的な違い

インクジェットとレーザーの違い

この項目では、レーザープリンターとインクジェットプリンターの基本的な違いを、印刷方式や特性の観点などの比較表を下にまとめました。
「どちらが自分に最適なのか?」を見極めるための第一歩として、まずはそれぞれの仕組みを理解していきましょう。

レーザープリンターインクジェットプリンター
印刷方式静電気とトナーを利用した乾式印刷液体インクを噴射する方式
印刷速度速い(1分間に20枚以上)遅め(1分間に5〜15枚)
運用コストトナー1本で大量印刷が可能インクカートリッジの交換頻度が高い
品質くっきりした文字・線が得意グラデーションや写真に強い
用途ビジネス文書、大量印刷向き写真・カラー印刷向き

2.レーザーとインクジェット – コスト比較

インクジェットとレーザーのコスト比較

この項目では2025年2月時点でのキャノン、ブラザー、エプソンのインクジェットプリンターとレーザープリンターのA4サイズ1枚当たりの印刷コストを比較しています。

2.1 インクジェットプリンター 印刷コスト

メーカー名モデル名A4モノクロA4カラー
キヤノンPIXUS XK130約1.6円約4.1円
キヤノンG3390約0.4円約1.0円
ブラザーMFC-J7500CDW約0.8円約4.1円
ブラザーMFC-J4443N約0.8円約4.1円
エプソンEW-M634T約0.4円約1.0円
エプソンPX-M791FT約0.9円約2.2円

インクジェットプリンターは、一般的に1枚あたりの印刷コストが低く、特にモノクロ印刷では 0.4円〜1.6円、カラー印刷では 1.0円〜4.1円 と、非常にコストパフォーマンスが高いことが分かります。

インクジェットプリンターには カートリッジ式タンク式(エコタンク、ギガタンクなど) の2つのインク供給方式があります。

特にエプソンやキヤノンの エコタンク式モデル は、ランニングコストをさらに抑えることができ、長期的に見ると経済的です。また、ブラザーのインクジェットプリンターも同様に、低コストでの印刷が可能です。

ただし、カートリッジ式のインクジェットプリンターは1枚あたりの印刷コストが高くなる傾向があり、大量印刷にはあまり適していません。さらに、長期間使用しないとインクの詰まりが発生するため、定期的な使用とメンテナンスが必要です。


2.2 レーザープリンター 印刷コスト

メーカー名モデル名A4モノクロA4カラー
キヤノンMF654Cdw約3.9円約20.5円
キヤノンLBP622C約3.9円約20.4円
ブラザーMFC-L8610CDW約2.2円約17.0円
ブラザーHL-L3240CDW約3.2円約19.3円
エプソンLP-S8180シリーズ約3.3円約13.0円
エプソンLP-S7180シリーズ約3.5円約15.4円

レーザープリンターの1枚あたりの印刷コストは、モノクロで 2.2円〜3.9円、カラーで 13.0円〜20.5円 と、インクジェットに比べるとやや高めです。しかし、トナーカートリッジ1本あたりの印刷可能枚数が非常に多いため、大量印刷を行う場合には 長期的なコストメリット があります。

また、印刷速度が速く、紙への定着が強いため耐水性や耐久性に優れる というメリットもあります。オフィスや業務用途では、1回あたりの印刷枚数が多いため、コスト効率が高くなる傾向にあります。

ただし、初期導入コストがインクジェットよりも高く、特に カラー印刷のコストは高め なので、大量にカラープリントを行う場合は運用コストをよく検討する必要があります。

3.印刷用途別の最適解

プリンターを選ぶ際に重要なのは、「どの用途で使うか」です。オフィス業務、写真・デザイン、教育現場、在宅ワークなど、それぞれの目的に適したプリンターを選ぶことで、コストを抑えつつ高いパフォーマンスを発揮できます。

3.1 オフィス・ビジネス用途:レーザープリンターが最適

オフィスや企業向けでは、レーザープリンターが圧倒的に有利 です。その理由は、以下のポイントにあります。

オフィス・ビジネス用途

1.印刷速度が速く、大量印刷向き
オフィスでは毎日大量の文書や資料を印刷することが多いため、レーザープリンターの高速印刷(毎分20~50枚以上) は業務の効率化につながります。

2.コストパフォーマンスが高い
一般的に、トナー1本で数千枚印刷できるため、大量印刷する企業やオフィスでは、トナー交換の頻度が少なくなり、運用コストを抑えやすい。

3.耐水性・耐久性が高い
契約書や社内資料などの長期保存には、耐水性の高いレーザープリントが適しています。

4.普通紙でも高品質な印刷が可能
ビジネス書類は、普通紙にクッキリとした文字が求められます。レーザープリンターなら、にじみにくく視認性の高い印刷が可能です。

オススメの使用シーン

✔ 大量の書類やプレゼン資料の印刷
✔ 長期保存が必要な契約書や報告書
✔ 会議用の配布資料


3.2 写真・デザイン用途:インクジェットプリンターが最適

写真やデザイン業界では、インクジェットプリンターの精細な色再現能力 が不可欠です。

写真・デザイン用途

1.高品質なカラー印刷が可能
インクジェットプリンターは色の発色が鮮やかで、グラデーションの再現性が高い ため、写真やポスター、デザインサンプルの印刷に適しています。

2.専用紙に対応しやすい
レーザープリンターは普通紙向きですが、インクジェットは光沢紙、写真用紙、キャンバス紙など多様な用紙に対応 できます。デザイン業務では必須の要素です。

3.大判印刷にも対応可能
インクジェットにはA3やB0サイズ対応のモデル も多く、大判ポスターや設計図などの印刷にも最適です。

オススメの使用シーン

✔ 写真やイラストの印刷
✔ ポスターやフライヤーの制作
✔ 色彩が重要なデザインワーク
✔ 建築設計図や大判プリント


3.3 学校・教育現場:使い分けが鍵

教育機関では、印刷する内容や量によってインクジェットとレーザーを使い分けるのが理想 です。

学校・教育現場

1.大量の教材印刷ならレーザー
学校ではテスト用紙やプリント教材を大量に印刷するため、レーザープリンターが適しています。特に公立学校ではコスト削減が求められるため、トナーの持ちが良いレーザーが最適です。

2.図工やアート作品にはインクジェット
児童・生徒向けのポスターやカラー教材、アート作品の印刷では発色の良いインクジェットプリンターが活躍 します。

オススメの使用シーン

✔ テストや教材の大量印刷 → レーザー
✔ 図工や美術のカラー教材 → インクジェット


3.4 在宅ワーク・小規模オフィス:インクジェットがコスパ最強

近年、テレワークの普及により、自宅でのプリント環境が求められています。在宅ワークや小規模オフィスでは、ランニングコストの低いインクジェットプリンターが有力 です。

在宅ワーク・小規模オフィス

1.初期コストが安い
レーザープリンターは本体価格が高めですが、インクジェットは1万円台から購入可能 で、個人でも手軽に導入できます。

2.少量印刷に向いている
在宅ワークでは1日数枚~数十枚の印刷が主流 なので、大量印刷向けのレーザーよりも、インクジェットの方がコスト効率が良くなります。

3.コンパクトで省スペース
レーザープリンターは大型のモデルが多いですが、インクジェットはコンパクトなデザインが多く、デスク上にも設置しやすいです。

オススメの使用シーン

✔ 仕事の書類や請求書の印刷
✔ 在宅ワークでのちょっとした印刷
✔ 小規模オフィスでの使用

4.消費電力で選ぶ最適なプリンター

プリンターを選ぶ際、印刷コストや機能だけでなく、「消費電力」も重要な要素です。特に長期間使用する場合、消費電力の違いは電気代の差として積み重なります。この項目では、インクジェットプリンターとレーザープリンターの消費電力を比較し、それぞれの用途に最適な選び方を解説 します。

4.1 インクジェットプリンターの消費電力特性と選び方

省エネ志向

✅ インクジェットは低消費電力で省エネ志向の方に最適!

インクジェットプリンターは、印刷時・待機時ともに消費電力が低く、環境負荷が少ないのが特徴です。特に、家庭用や小規模オフィスでの少量印刷に向いている ため、省エネ性能を重視する方におすすめです。

プリンター名印刷時待機時
キヤノン PIXUS XK130約27W約1.0W
キヤノン G3390約18W約0.9W
ブラザー MFC-J7500CDW約30W約0.9W
ブラザー MFC-J4443N約21W約1.4W
エプソン EW-M634T約12W約0.7W
エプソン PX-M791FT約19W約0.8W

※機種によってはUSB接続時などの場合となります。詳細は各メーカーの商品ページをご確認下さい。

🔹 インクジェットプリンターが向いている用途

家庭・個人利用:電気代を抑えつつ、必要な時に印刷する方に最適
在宅ワーク・小規模オフィス:少量の文書印刷なら低コストで運用可能
エコ意識の高い方:環境負荷を減らしつつ、消費電力を最小限に

🔹 こんな人におすすめ!

  • 1日10~50枚程度の印刷
  • 電気代を抑えたい
  • 待機時の電力消費を最小限にしたい


4.2 レーザープリンターの消費電力特性と選び方

大量印刷

✅ レーザープリンターは大量印刷をするオフィス向け!

レーザープリンターは、トナーを熱で定着させるため、印刷時の消費電力が高めです。しかし、印刷速度が速く、大量印刷時の効率が良いため、オフィスや業務用途には最適 です。

プリンター名印刷時待機時
キヤノン MF654Cdw約370W約0.8W
キヤノン LBP622C約400W約0.8W
ブラザー MFC-L8610CDW約530W約1.6W
ブラザー HL-L3240CDW約560W約0.45W
エプソン LP-S8180シリーズ約449W約0.72W
エプソン LP-S7180シリーズ約357W約0.64W

※機種によっては動作時平均の消費電力となります。詳細は各メーカーの商品ページをご確認下さい。

🔹 レーザープリンターが向いている用途

オフィス・業務用途:毎日大量に印刷する職場では、スピードと効率性が重要
ビジネス文書の印刷:長期保存向けの鮮明な印刷が可能
印刷頻度が高い環境:1日100枚以上印刷する場合はレーザーの方が適している

🔹 こんな人におすすめ!

  • 1日100枚以上の大量印刷が必要
  • 業務用プリンターとして安定運用したい
  • 高速印刷を求める

まとめ:どのプリンターを選ぶべきか?

🔹 こんな人にはインクジェットプリンターが最適!

インクジェット

✅ 少量印刷をコスト重視で行いたい
✅ 高画質なカラー印刷が必要
✅ 省エネ性能を重視し、電気代を抑えたい
✅ 在宅ワークや小規模オフィス向け


🔹 こんな人にはレーザープリンターが最適!

レーザープリンター

✅ 1日100枚以上の大量印刷を行う
✅ 高速印刷が求められるオフィス環境
✅ 耐久性があり、トナー交換の頻度を抑えたい
✅ 契約書や文書の長期保存が必要

結論:用途に応じて最適なプリンターを選ぼう!

プリンター選びは、印刷コスト、用途、消費電力のバランス を考えることが重要です。低コスト&省エネならインクジェットプリンター、大量印刷&業務効率ならレーザープリンターが適しています。

自分の使用環境に合ったプリンターを選び、印刷コストと電気代の両方を抑えつつ、快適な印刷環境を実現しましょう!

また、不要になったトナーカートリッジの買取を活用すれば、さらにコスト削減につながります。
お手元にございましたら、ぜひ当店の買取サービスをご利用ください。環境にも優しく、オフィスのコスト管理にも役立ちます!

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