オフィス文書や大量印刷ならレーザープリンター、写真やカラー表現ならインクジェットプリンター、といった基本的な選択基準を別のコラムにてご紹介させて頂きました。
しかし、プリンター選びは『今のコスト』だけで決めていいのでしょうか? 印刷物は、使い方や保存環境によって長期的な耐久性が大きく異なることをご存じでしょうか? 水や湿気、紫外線による色褪せ、摩擦による擦れなど、用途によっては印刷の耐久性が非常に重要な要素になります。例えば、契約書や公的文書を何年も保存したい場合、どちらのプリンターが適しているのでしょうか?

この記事では、レーザープリンターとインクジェットプリンターの「印刷物の耐久性の違い」に焦点を当て、それぞれの印刷方式がどのような環境に強いのかを詳しく解説していきます。「せっかく印刷したのに、時間が経つと読めなくなった…」 なんてことを防ぐために、ぜひチェックしてください。

目次

1.湿気・高温環境での耐久性

印刷物の耐久性は、使用環境の温度や湿度によって大きく左右されます。特に高温多湿の環境では、インクやトナーの定着状態、紙の品質、色の保持力などが変化しやすく、適切なプリンターの選択が重要になります。この項目では、レーザープリンターとインクジェットプリンターの湿気・高温環境における耐久性の違いを解説し、それぞれの特性を踏まえた適切な用途について紹介します。

レーザープリンターの耐久性:高温・湿気に強い理由

✅ トナーの熱定着方式が湿気に強い

湿気に強い

レーザープリンターは、トナー(粉末状の顔料)を高温で加熱し、紙の繊維に圧着させる ことで印刷を行います。このプロセスにより、印刷された文字や画像は水分や湿気の影響を受けにくくなり、高温環境でも変化しにくい特性を持ちます。


✅ 湿気によるにじみ・滲みのリスクが低い

滲みリスク低

湿度の高い環境では、紙が水分を吸収しやすくなり、印刷物がにじんだり滲んだりするリスクがあります。しかし、レーザープリンターのトナーは粉末を熱で溶かして紙に定着させるため、インクジェットのように液体が染み込むことがなく、湿気による滲みがほぼ発生しません


✅ 高温環境でもトナーの劣化が少ない

高温耐性
  • トナーは固形粉末のため、高温環境でも変質しにくい。
  • インクと異なり、乾燥や蒸発の影響を受けないため、長期間使用しても品質が安定。
  • 特に倉庫や工場など、高温になりやすい場所での印刷に適している

インクジェットプリンターの耐久性:湿気や高温に対する影響

✅ 水性インクは湿気の影響を受けやすい

湿気の影響

インクジェットプリンターで使用される染料インクは、水に溶けやすい性質を持っています。そのため、湿度の高い環境では印刷面がにじんだり、滲んだりするリスクが高まる ことが懸念されます。特に普通紙への印刷では、紙が水分を含みやすくなるため、注意が必要です。


✅ 顔料インクなら湿気への耐性が向上

湿気への耐性

一方で、業務用のインクジェットプリンターでは顔料インクを採用しているモデルもあり、これらは比較的耐水性が高いため、湿気の影響を受けにくい傾向にあります。

  • 染料インク:湿気や水分に弱く、長期間の保存や屋外使用には不向き。
  • 顔料インク:粒子が紙の表面に留まるため、湿気や水濡れに対して比較的耐久性が高い。

✅ 高温環境ではインクの蒸発リスクあり

インクの蒸発
  • インクジェットプリンターのインクは液体のため、高温環境では蒸発や乾燥が進みやすく、カートリッジの目詰まりが発生する可能性がある
  • 長期間使用しない場合、定期的にクリーニングを行う必要がある。
  • 高温で保存されたインクは粘度が変化し、正常な印刷品質を保ちにくくなる。

1.3 レーザープリンターとインクジェットプリンターどちらを選ぶべき?

湿気や高温環境での耐久性を重視するなら、レーザープリンターが最適。
インクジェットを使用する場合は、顔料インクを採用したモデルを選び、高温・乾燥環境では保管管理を徹底することが重要。
保存性を向上させるために、耐湿・耐水紙の使用やラミネート加工を施すことで、印刷物の品質を長期間維持できる。

最適なプリンターを選択し、使用環境に応じた適切な印刷手法を取り入れることで、印刷物の品質を最大限に保ちましょう!

2.長期保存・紫外線(UV)への耐性

印刷物の長期保存を考える際、経年劣化の影響や紫外線(UV)による色褪せ は重要な要素です。保存期間が長くなるほど、印刷方式による違いが明確に現れ、用途に適したプリンターを選ぶことが品質維持のカギとなります。

この項目では、レーザープリンターとインクジェットプリンターの長期保存性と紫外線耐性の違い を詳しく解説し、それぞれの特性を踏まえた最適な用途について紹介します。

レーザープリンターの長期保存性と紫外線耐性

✅ トナーの特性が色褪せを防ぐ

色褪せを防ぐ

レーザープリンターは、粉末状のトナーを高温で紙に定着させる 方式を採用しており、顔料ベースのトナーは紫外線による化学変化を受けにくい という特性を持っています。そのため、長期間保存しても色褪せしにくく、耐光性が高い のが特徴です。


✅ 保存時の湿度・温度変化に強い

温度変化に強い
  • トナーは水分を含まないため、湿気や温度の影響を受けにくい
  • 長期間の保存でも、用紙の劣化以外の要因で印刷品質が大きく変わることは少ない
  • 耐候性に優れた印刷方式のため、契約書や公文書などの重要書類に適している

✅ 紫外線による影響を受けにくい

紫外線につよい
  • 屋外掲示物やアーカイブ用途 においても、紫外線による退色が少なく、印刷物の可読性が長期間維持される。
  • 高品質な耐光紙を使用することで、さらなる耐久性向上が可能。

インクジェットプリンターの長期保存性と紫外線耐性

✅ 染料インク vs 顔料インク:保存耐性の違い

インクジェットプリンターで使用されるインクには、「染料インク」「顔料インク」 の2種類があり、保存性に大きな違いがあります。

1. 染料インク(一般的なカラーインク)

染料インク
  • 水に溶けやすく、紫外線の影響を受けやすいため、長期間の保存には不向き。
  • 特に赤や黄色のインクが紫外線に弱く、屋外使用や日光が当たる環境では色褪せが早い。
  • 写真印刷には適しているが、保存環境に注意が必要。

2. 顔料インク(業務用・高品質プリンター向け)

顔料インク
  • 粒子が紙の表面にとどまるため、紫外線による色褪せが少ない。
  • 長期保存向けの印刷用途に適しており、契約書や研究資料などに推奨される。
  • 一部の業務用インクジェットプリンターでは、耐光性の高い特殊インクを採用しているモデルもある。

✅ 長期保存時のリスク

長期保存時のリスク
  • 染料インクは湿気や光の影響を受けやすく、長期保存には顔料インクを推奨。
  • インクジェットプリンターの印刷物は、紙の種類によって耐久性が変わるため、高品質の保存用紙を選ぶことが重要。
  • 印刷後にラミネート加工やUVカットフィルムを使用することで、保存性を向上できる。

🔹 どちらを選ぶべき?

長期保存や紫外線耐性を重視するなら、レーザープリンターが最適。
インクジェットを使用する場合は、顔料インクを採用したモデルを選ぶと耐久性が向上。
耐光性を向上させるために、UVカット加工やラミネートを活用するのも有効な手段。

印刷物の用途に応じて最適なプリンターを選び、保存性を高める工夫を取り入れることで、長期間にわたって鮮明な品質を維持しましょう!

3.摩擦や擦れへの耐性

印刷物は日常の使用や保管時に摩擦や擦れの影響を受けることがあり、プリンターの種類によって耐久性が異なります。特に、名刺、チケット、会計伝票、配送ラベルなど、頻繁に取り扱われる印刷物では、摩擦による劣化が問題となることがあります。

この項目では、レーザープリンターとインクジェットプリンターの摩擦や擦れへの耐性の違い を詳しく解説し、それぞれの特性を踏まえた最適な用途について紹介します。

レーザープリンターの摩擦・擦れ耐性:耐久性に優れる理由

✅ トナー定着技術が摩擦に強い

摩擦に強い

レーザープリンターは、高温と圧力を利用してトナーを紙に焼き付ける方式 を採用しています。このため、トナーは紙の表面にしっかりと結合し、摩擦による剥がれや擦れが発生しにくいのが特徴です。


✅ 摩擦が多い用途でも印字が消えにくい

印字が消えにくい
  • 配送ラベル・伝票:輸送中の摩擦に強く、情報が読み取りやすい状態を維持。
  • 契約書・ビジネス文書:頻繁な取り扱いでも印字が擦れにくく、重要書類の長期保存に適している。
  • チケット・名刺:持ち歩きや使用頻度が高くても、印字の劣化が少ない。

✅ 用紙の選択によるさらなる耐久性向上

耐久性向上

レーザープリンターは、普通紙だけでなく、耐摩耗性の高い特殊用紙やラミネート加工紙とも相性が良い ため、さらに耐久性を高めることが可能です。


インクジェットプリンターの摩擦・擦れ耐性:インクの種類で異なる

✅ 水性インクは擦れに弱い

擦れに弱い

インクジェットプリンターの多くは水性の染料インク を使用しており、紙に染み込むことで発色する仕組み になっています。そのため、

  • 印刷面が摩擦を受けるとインクがにじんだり薄くなったりする
  • 湿気を含むと紙が変形し、印字の視認性が低下することがある

✅ 顔料インクなら耐摩耗性が向上

耐摩耗性が向上

一方で、顔料インクを使用するインクジェットプリンター では、摩擦への耐性が向上します。

  • 顔料インクは紙の表面に定着するため、擦れに強くなる
  • 業務用インクジェットプリンターでは、耐久性を向上させるための特殊インクを採用したモデルもある

✅ 摩擦が多い用途では注意が必要

注意が必要
  • 郵送物の宛名印刷:摩擦によってインクが薄くなり、配送中の判読性が低下することがある。
  • 長期保管する書類:保管時の擦れでインクが薄れやすく、ラミネート加工や耐久性の高い用紙の使用が推奨される。

🔹 どちらを選ぶべき?

摩擦や擦れに強い印刷物を作りたいなら、レーザープリンターが最適。
インクジェットを使用する場合は、顔料インクや耐久性の高い用紙を組み合わせることで劣化を防げる。
郵送物やチケットなど、頻繁に扱われる印刷物には、耐摩耗性を高める工夫が必要。

用途に応じたプリンターを選び、適切な用紙やインクを活用することで、摩擦や擦れによる劣化を最小限に抑えましょう!

まとめ:用途別の最適なプリンター選び

このように、印刷物の耐久性を考えると レーザープリンターは圧倒的に耐久性が高く、特に長期保存・屋外用途に向いている ことが分かります。
インクジェットプリンターも 顔料インクを選べば耐久性が向上 するので、用途に応じた選択が重要です。

目的最適なプリンター
水に強い印刷物
(ラベル・掲示物)
レーザープリンター
顔料インクのインクジェット
長期間保存する文書
(契約書・アーカイブ資料)
レーザープリンター
屋外で使用するポスター・看板レーザープリンター
顔料インクのインクジェット
写真・デザイン重視インクジェット
(染料インク)
頻繁に取り扱う文書
(パンフレット・冊子)
レーザープリンター

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